大昔のラジオは木板(ブレッド・ボード)にパーツをビス止めして組み立てたようである。そんなラジオを作ってみたくなった。例によってジャンク箱を漁るとバリコンやコイルが出てきた。本来ならばこれらもその当時のものであれば最高だが、コイルはミズホから出ているレプリカだし、バリコンはせいぜい30年前のものである。
使用する真空管だけでも古いものにしたいが、手持ちはST管止まりで、とりあえず三極管の76を引っぱり出した。
木板(ブレッド・ボード)は100円ショップを探したら、ゴムの木の集成材でできた置き台が入手できた。本来の使い方はお寿司を載せる台のようである。
回路はごくありふれたグリッド検波回路である。当初、ヘッドフォーンで聞いていたが、ものは試しで、10k:8オームの出力トランスとスピーカーをつないでみたら、そこそこ聞こえてしまった。静かな部屋であれば結構実用になりそうである。
自宅は東京都多摩地域であるが、数m長のアンテナでNHK第1、第2、AFN、TBSは問題なくスピーカーで聞くことができた。
76で味をしめたので、高出力を目指して別の球で試してみた。ヒータートランスが6.3Vなので高周波増幅用のメタル管6K7と電力増幅用のST管38を使った。クリップで
簡単に回路を変更できる。
6K7と38のSGはプレートと同電圧をかけてあり、プレート電流はプレートにかける電圧で調整した。どの球でも再生はスムーズにかかるが、耳で判断した出力は38>6K7=76となった。6K7の方が76より高出力になるのではと期待したが、あまり変わらなかった。
真空管 | 電圧(V) | 電流(mA) | プレート入力(W) |
76 | 115 | 9.0 | 1.035 |
6K7 | 92 | 9.7 | 0.892 |
38 | 85 | 18 | 1.530 |
グリッド検波回路を増幅器としてみるとカソードが接地されているので、0バイアス増幅となる。グリッドに低周波SGを接続して周波数特性を計測してみた。入力を1Vconstにした場合、出力は38で2.5mW、76で1.0mWとなった。
グリッド検波の場合、プレートにRFCと数百pFのコンデンサーでフィルターを構成するのが定番のようである。しかし、これを入れても入れなくても出力や音質がとりたてて変化しなかったので、パーツを減らす為に省いた。
そのため、使用している抵抗と固定コンデンサーはグリットリーク用の1Mオームと100pFのみである。
電源は6.3V0.5Aと100V10VAのトランスを使用し、これまた100円ショップで購入したステンレスの入れ物をケースにして組み込んだ。