6146Bを3本使用したHFリニアアンプである。どういうわけか6mでもなんとかチューンがとれる。今から20年前近くになるが、電波法の運用が変わり、100Wまでの無線局が実地検査なしに簡単に免許されるようになった折り、10W機に外付けするために製作したリニアアンプである。
その当時のメーカー製HFトランシーバーは、送信段のドライバーと終段のみが真空管で残りは半導体という形式が多かった。終段は6146Bや6JS6Cが使われたが、大抵は2本であり、100W出力ではかなり無理をしていた。
本機は6146Bを3本使用し、余裕を持って100Wを得るように設計されている。
パネル面のコントロールは電源関係のヒーター、高圧等のスイッチ、バンド切り替え、バリL(ローラーインダクター)、プレート・チューン、ロード等である。メーターはプレート電圧計、プレート電流計、グリッド電流計である。
背面は入出力コネクター、FUSE、アース端子、スタンバイ用コネクター、冷却用ファンである。冷却用ファンはAC100Vタイプであるが、コンデンサーが接続されており、100Vより低い電圧で駆動している。これは風量と騒音の低減のためである。
ケースは20cm*30cmシャーシーを2つ組み合わせたものに、パネルを張り合わせた形式になっている。左側が電源部、右側がRFデッキとなっている。電源部のトランスは高圧用、ヒーターとSG用、DC12V用の3個を使用している。高圧用トランスは特注したかなり余裕のあるものである。高圧用の電解コンデンサーはブロック化した。パネル面近くの真空管はSG安定用の6BM8、VR-150である。
RFデッキは前部左からプレートチューン用バリコン、バリL、ロード用バリコン、後部は3本の6146B、背面パネルには入出力切り替え用リレーが設置されている。
電源部シャーシー内には高圧整流ダイオード、SG用安定化回路、リレー用電源が配置されている。RFデッキ部には6146Bのグリッド廻りの回路が構成されている。
親機からの入力は1:9の入力トランスで昇圧された後、450オームのダミー抵抗に導かれ、その両端に発生する電圧で6146Bをドライブする。真空管やグリッド回路廻りのキャパシタンスはトータルすると十数pFにもなるので、ハイバンドでは入力SWRが悪化しドライブ不足になる。それをキャンセルするためにインダクターを挿入しバンドによって切り替えている。7MHz以下はキャセルしなくても入力SWRは十分低くなる。
親機にはトリオのTS-130V(10W)を使い、余裕で100Wの出力が得られた。本機にはALCをかけていないので、グリッド電流を監視して親機でドライブ電力を調整する。
3.5MHz-50MHzリニアアンプ
出力 100W
入力 10W
使用真空管 6146B 3本、6BM8 1本、VR-150 1本