7MHzと10MHzは真空管式の高1中2と807送信機の組み合わせでQRVしている。レトロでノスタルジアいっぱいの組み合わせであるが、送受信機が別々なので、交信するためにはキャリブレートが必要であり不便この上ない。余裕のある時はこの不便さを楽しむこともできるが、コンテストの時はこれではとてもではないが使う気にはなれない。
そのために、親機を20mトランシーバーにしたトランスバターを計画してみた。
構成は私の自作での実績のあるダイオードDBMを送受別々に使用したモノとした。20mトランシーバーにはトランスバーター用に小出力送信端子(約20mW)を備えているので、この構成にマッチしている。トランスバーターの局発周波数は水晶の入手の関係から、7MHz用は21.2MHz、10MHz用は24MHzとした。これにより、7MHz、10MHzとも逆ヘテロダインになってしまうが、スプリアスを考慮するとやはり局発は上側にすべきである。
受信部のフロントエンドはいろいろと試してみた。最初は真空管を使ったプリアンプを実験してみた。ANT側とRF側の同調回路をバリコンで7MHz-10MHzまでカバーできるようにしてみた。真空管はジャンク箱に眠っていたメタル管の6K7を使用した。6K7はメタル管なのでシールドケースが不要なので具合がよい。この6K7、10MHzでは適当な感度でかなりよいフィーリングであったが、7MHzではゲインオーバー気味かつ混変調もあり残念ながら使えなかった。フロントエンドを10MHzと7MHzで別々に構成すれば面白そうであるが、ちょっと面倒である。
我が家では外来ノイズがひどく、特に7MHzでは常にS9の状態である。この状態でもそこそこ聞こえるフロントエンドが必須の条件である。かえってプリアンプをつけずに直接、ダイオードミキサーに入力した方が良いかもしれない。そこで、コイルとバリコンでハイQの同調回路を作ってみた。
コイルはとりあえず、T-68-2のトロイダルコアに巻いてみた。6uHであると100pFのバリコンで7MHzと10MHzをカバーできる。巻数は35ターンでローインピーダンス側としてその上に2ターン、別巻き線で巻いた。7MHzでは6K7に比べるとかなり良い感じである。外来ノイズの中からもいくつか信号が拾えるようになったが、10MHzではやはり感度が不足気味である。
やはり数dBでよいから増幅した方が具合が良いようである。定番の2SK125バラGGアンプをバンドバスタイプの同調回路の後に追加した。出力側はフェライトビーズにバイファイラー巻きにしてインピーダンス比4:1のトランスを挿入した。GGアンプの場合、入出力のインピーダンス比がPGとなるとのことなので、約6dBのアンプである。10MHzでの感度不足も若干なりとも解消されたようであり、7MHzでもアンプなしと比べてそれほど変化ないのでこれをフロントエンドすることにした。
コイルはハイQを狙ってフィルムケースにまき直した。ハイインピーダンス側は密巻きで11ターンとし、ローインピーダンス側はハイインピーダンス巻き線のアース側に1ターン巻いた。
局発はこれまた私の定番である2SK125を使った回路である。この回路は簡単でかつ安定動作し、出力も数十mWあるのでスプリッターで分配した後、3dBパッドを通しても10mWが得られるので十分、ダイオードDBMを駆動できる。送信回路はこれまた定番の2SK241を使ったアンプである。TX-INとして約20mW得られるのでDBMの前後を3dBパッドで固め、BPFを通しても数mWのTX-OUTが得られる。
バラックで試験中のトランスバーター、前列左からフロントエンド部、その右に局発部、奥が送信用のアンプである。フロントエンドのコイルはフィルムの空ケースに巻いてある。受信系統はこれでほぼ完成である。送信系統は別の送信機のリニアアンプ部に接続して約5Wの出力が得られている。
バラックセットで動作確認ができたので、ケースに入れて完成である。ケースはW20cm*H6cm*D13cmの蓋付きシャーシーを使った。リニアアンプは30mBAND送信機を使用することにして組み込まなかった。本機の送信出力(数mW)は30mBAND送信機のドライバー段へ接続され約5Wの出力を得ている。さすがに、送受信機セパレートと違い、曲がりなりにもトランシーバーであるので、受信してそのまま送信できるわけで至極快調である。
送受信の切り替えは2SK125アンプの電源だけをリレーでON-OFFしている。アンテナ切り替えはリニア部に使用している送信機の回路を流用している。
左側がフロントエンド部、バリコンで7MHzと10MHzを切り替える。その右が局発、上部は送信プリ・ドライバー部である。
下段は30mBAND送信機、送信ステージはブロードバンドアンプとなっているので7MHzと10MHzで両用可能である。LPFは10MHz用であるが、7MHzでも十分機能している。当然、30mBAND送信機も本機を中継して送受信の切り替えができるようになっている。親機からの信号をキーイング端子に入力して送受切り替えを行っている。この場合、30mBAND送信機のセミブレークイン機能は解除してある。
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