押入を整理していたら、昔作った10m CW Transmitterが出てきた。ケースの裏にJun' 88と書いてあったので、今から17年前に作ったことになる。9350kHzの水晶をVXOで動かし、それを3逓倍して28.000-28.050MHzまで出られるようにした。受信機替わりのトリオのトランシーバーTS-130Vと組み合わせてQRVした。出力は5Wであったが、DXも含めてそこそこQSOできた記憶がある。しかし、その内、使わなくなり、押入に仕舞い込んでしまったようである。
コントロールは左から電源スイッチ、キージャック、キャリブレート、同調ダイアル、電源スイッチ右は取り外した出力指示用のインジケーターの穴である。
ケースの蓋にリニアアンプが配置されている。石は東芝の2SC2393でプッシュプルとなっている。二十数年前のCBブームの頃の石である。ドライブには同じく2SC2393を使い、プリドライブに2SC1957を使っているが、これもCB用の石である。最近はこの種のHF送信系統に使える石が入手難である。
ケース内は左からコントロール回路、右上はVXO発振回路、その下にVXO用バリコンとドライバー回路となっている。発振からファイナルまで5段構成となっているが、今考えると多すぎるようである。
自作無線機では残念ながら10mバンドへ出られないので、トランスバーターを作ることにした。親機には20m(14MHz)、17m(18MHz)、15m(21MHz)が使えるが、これらの無線機にはLSBモードがないのでトランスバターの局発をアッパーにすることができない。スプリアス的には非常に不利であるが、局発をロワーにするしかない。20m(14MHz)を親機にすると局発は14MHzとなり、2逓倍がバンド内に入ってしまう。15m(21MHz)では同様に局発が7MHzとなり、これまた3逓倍がバンド内に入ってしまう。17m(18MHz)では局発が10MHzとなり、ようやくバンドから外れる。これでもスプリアス的には他よりマシかなという程度である。
ドライブ−ファイナルはオリジナルのままである。ただし、LPFだけは基板から外した。試しに21MHzを入力したら簡単に10W超が得られた。PGもかなりあるのでQRP5Wであれば28MHzでもかなり余裕がありそうである。
プリドライブはオリジナルでは2SC1957を使っていたが、この石だけでも1Wが得られるのでプリドライブに使うのはもったいない。これはジャンク箱に採っておくことにして2SC1906で作り直した。
LOは10MHz水晶を基本波で発振させている。2SK125のドレイン側はBPFとし、念のため10MHzLPFを挿入してある。というのは10MHzの3逓倍は30MHzとなり目的とする28MHzと非常に近寄ってしまうためである。出来るだけDBM前で減衰させておく必要がある。
受信用プリアンプは2SK241で簡単に済ませた。2SK241はゲインがあるのでそのままDBMへ入れても実用となる。筆者はDBMは送受信で別々にするのが好みであるが、手持ちのDBMが残り少なくなったので、送受信共通にしてリレーで切り替えている。
コントロールはリレーの送受信切り替えと、電源の共通、送信、受信の切り替えだけである。本機では大きめのリレーで電源系統を切り替えた。
ケースはW140mm*H75mm*D200mmのものを使用した。左側の基板が受信RF、LO、送信プリドライブ、DBMで、右側の基板がリニア・アンプである。LPFは裏面パネルの内側に配置してある。送受コントロール用にプラスチックケース入りの大きめのリレーを接着剤で貼り付けてある。
コントロール類は電源スイッチだけで、入出力はRX-OUT、TX-IN、ANT、STN-BYとなる。左から電源スイッチ、RX-OUT、TX-INとなる。ANT、STN-BYは裏面パネルに配置してある。
本機は15m/17m 2BAND SSB/CW Tranceiverに接続して使用する。局発が10MHzなので28.5MHzに出る場合は親機を18.5MHzに設定する。週末、バンドをチェックしたらEスポが出ていて、JA8の局をコールしたら応答がありQSOできた。その後、ローカル局ともQSOでき、音質のレポートをもらった。特に問題なしとのことで一安心である。