SSH経由でFreeBSDサーバーへアクセスしているWindows10 PCの動作が遅くてイライラすることが多い。
このPCに使用されているHDDをSSDに換装してスピード・アップを図ることにする。
SSDへの換装方法はいろいろあるようであるが、Linuxのddコマンドにより現状のHDDを丸ごとコピーしたクローンSSD
を作成することにした。
具体的にはUSBメモリーへLinuxをインストールし、このUSBメモリーをWindows10 PCへ挿入し、BIOSを変更し、Linuxを立ち上げる。
コピー先のSSDはUSB
インターフェース経由でWindows10 PCへ接続する。
Linuxのコマンド・ラインからddを使い、Windows10 PCの内蔵HDDを外付けしたSSDへ丸ごとコピーし、クローンを作成するという手順である。
最終的にはWindows10 PCのHDDをクローンSSDと入れ替えるわけである。
この方法であれば、Windows10 PC、USBメモリー、SSD、USBインターフェースがあればOKである。
さらに、このddコマンドは強力なツールで、指定されたバイト単位で書き込むため、コピー先を事前にフォーマットする必要もない。
ただし、コピー先のSSDの容量はHDDと同じか、大きいことが条件である。
USBメモリーへインストールすることができるLinuxは、いろいろあるようであるが、筆者はubuntuを選択した。
今回はコマンド・ラインが使用できればOKなので、ubuntuのサイトトからubuntu-ja-18.04.3-desktop-amd64.isoをダウンロードした。
このisoファイルのサイズは2GB弱なので、4GBのUSBメモリーであればインストールできる。
ダウンロードしたisoファイルをUSBメモリーへインストールするためには特別なソフトが必要となる。
これらのソフトもいろいろとあるようであるが、筆者は「Raspberry Piのいたずら」等で使い慣れたWin32DiskImagerで行った。
左図ではインストールするImage Fileとして"ubuntu-ja-18.04.3-desktop-amd64.iso"が選択され、インストール先はEドライブに挿入された4GBのUSBメモリーで、
"Write"ボタンをクリックするとインストールが開始される。
ubuntuをインストールしたUSBメモリーをWindows10 PCに挿入し、電源を入れBIOS画面を開き、USBメモリーから
起動させると、このようなデスクトップ画面が現れる。
このデスクトップ画面の左上にある"アクティビティ"をクリックし、"terminal"とタイプすると、"端末"が現れるのでクリックすると、以下のようにコマンド・ラインとなる。
コマント・ラインから以下のように入力してPC内にあるHDDの情報を得る。
ubuntu@ubuntu:~$sudo dmesg
ddコマンドによる丸ごとコピーでは、上述したようにコピー先のSSDの容量はHDDと同じか、大きいことが条件であるので、dmesgでHDDの仕様を確認しその条件に合ったSSD
を準備する。
ちなみに筆者のWindows10 PC(FUJITSU ESPRIMO D587/S)に内蔵されていたHDDの情報は、以下のとおりである。
ATA ST500LT012
[sda] 976773168 512-byte logical blocks: (500 GB/466 GiB)
"ST500LT012"でネット検索すると
SEAGATE製の2.5インチHDD、SATA、厚さ7 mm等の情報が得られた。
用意したSSDはSAMSUNG 860EVO 500GBである。
実はこのSSD、dmesgによるHDDの仕様チェック前に購入したものであるが、内蔵HDDと同容量であり、結果的にOKであった。
SSDに接続してあるのはUSBインターフェースであり、USBケーブルでPCに接続する。
このSSDの情報は以下のとおりである。
Samsung SSD 860 4B6Q
976773168 512-byte logical blocks: (500 GB/466 GiB)
これで準備が整ったので、改めてUSBメモリーからubuntuを立ち上げ、コマンドラインからdmesgでデバイスの
状況を確認する。
ubuntu@ubuntu:~$sudo dmesg
ここでのポイントは内蔵HDDとUSB接続したSSDのデバイス名の確認である。
HDD sda
SSD sdc
となった。
いよいよddコマンドにより、内蔵HDDをUSB接続したSSDに丸ごとコピーしてクローンを作成する。
ubuntu@ubuntu:~$sudo dd if=/dev/sda of=/dev/sdc bs=16M
筆者の場合、コピー完了まで3時間ほどかかった。
コピー中は、SSDのLEDが点滅しているが、コピーが完了すると点灯しっぱなしとなるので、それまではじっと我慢である。
コピーが完了したSSDが本当に動作するか確認するのには、こんな方法もある。
PCにUSB接続したSSDを挿入し、BIOSを変更してこのSSDから起動してみる。
USB接続なので、時間はかかるが問題なくWindowsが立ち上がるはずである。
最終的にはPCを分解して内蔵HDDを取り出し、丸ごとコピーしたクローンSSDに入れ替える。
入れ替え後、PCを起動するとWindowsも素早く立ち上がり、アプリもストレスなく使用でき、爆速を実感している。
dd使用の際の注意事項
ddは非常に便利なコマンドであるが、使用に際しては十分に注意する必要がある。
それはコピー元とコピー先のデバイス名を必ず確認することである。
勘違いでコピー元とコピー先を入れ替えてしまうと、クローンSSDを作ったつもりが、内蔵HDDの
データを完全消去してしまうことになる。
ddの前には、必ずdmesgでデバイス名を再確認!!!
デスクトップPCでは、内部のHDDにアクセスするのは容易であるが、筆者が使っているNECのノートPC
(PC-NS100K2W)では簡単にはいかないようである。
ネット検索の結果も内部にアクセスする場合は、PCショップ等に任せた方が無難とのことであった。
そのような訳で近所のPCショップに、「クローンSSDとノートPCを持ち込んだらHDDと交換してくれますか?」と問い合わせをしたら「大丈夫ですよ」との
返事をいただいた。
このNECのノートPCはOfficeが入っているので、使う機会が多いが、とにかく動作が遅いので、クローンSSDを作り、PCショップに持ち込むこととした。
USBメモリーからubuntuを立ち上げ、コマンドラインからdmesgで内蔵HDDをチェックしたら
WD500LPCX-2 976773168
であった。
こちらも"WD500LPCX-2"でネット検索すると
Western Digital製の2.5インチHDD、SATA、厚さ6.8mm等の情報が得られたので、
Windows10 PC(FUJITSU ESPRIMO D587/S)で使用したSAMSUNG 860EVO 500GBで対応できる。
新たにSAMSUNG 860EVO 500GBを購入し、クローンSSDを作ることにする。
上写真はUSBメモリーから立ち上げたubuntuのコマンド・ラインと、USB接続したSSDである。
クローンSSDの作成方法は上述したとおりであり、デバイス名は次のようになった。
HDD sda
SSD sdb
コマンド・ラインから
ubuntu@ubuntu:~$sudo dd if=/dev/sda of=/dev/sdb bs=16M
と入力し、約3時間20分後に以下のメッセージが出てコピーが完了した。
29808+1 レコード入力
29808+1 レコード出力
500107862016 byte (500GB 466GiB) copied 11901S 42.8MB/s
完成したクローンSSDをUSBインターフェース経由でノートPCへ接続し、BIOSを変更し、SSDから起動させると無事に立ち上がった。
USB経由なのに内蔵HDD
と比べても遅いとは感じられなかった。
その後、このノートPCとクローンSSDを近所のPCショップに持ち込み、内蔵HDDと交換してもらった。
さすがにSSDと交換したら、立ち上がりも早く、HDDの時は起動にものすごく時間がかかったFirefoxやThuderbirdもクリックするとすぐに立ち上がるようになった。