MPDをインストールしたRaspberry PiをMusic Serverとする場合、欠かせないのがUSB-DACであるが、それらを一つの筐体に収納してみた。
USB-DACには秋月のキットを使用するが、そのままでは出力電圧が0.66Vしかないので、使い勝手を良くするため2V程度まで昇圧する。
昇圧にはトランスを使用したり、FETやOPアンプを使用したバッファ・アンプを組み合わせたりする。
今回は一つの筐体にRaspberry Piと一緒に収納するが、Raspberry Piへの供給電源はACアダプターを使用する。
FETやOPアンプを使用したバッファ・アンプでは12V〜24V程度の電源が必要となるが、こちらもACアダプターを使用する場合、一つの筐体に2種類の電源を供給することになり、つなぎ間違えを防止する措置が必要となり、面倒である。
トランスで昇圧する場合には特別な電源は不要で、しかも秋月キットのUSB-DACはバス・パワーで動作するので、筐体への電源供給はRaspberry Pi用の5VだけでOKとなる。
左側がUSB-DAC部分であるが、昇圧用のトランスがかなり大きく、それを収納できるサイズが必要なので、W:200mm、H:80mm、D:180mmのケースを使用した。
フロント・パネルには電源スイッチとLEDランプを配置した。
電源スイッチは電源用2.1mmコネクターとRaspberry Pi間に挿入してある。
左からRaspberry PiのLANポートとUSBポート。
中央は電源用2.1mmコネクター。
その右はDAC出力のRCA端子。
右端はDACのUSBポート。
Raspberry PiとUSB-DACはケースの外でUSBケーブルで接続する。
そのため、Raspberry PiとUSB-DACはそれぞれ単独で使用可能となる。
秋月のキットにトランスを組み合わせる方式についてはぺるけ氏のサイトに詳細な解説がある。
今回、使用したトランスはタムラのA-8713であるが、このトランスは真空管ライン・アンプ用で本来は1次側20kオーム、2次側600オームで使用する。
今回は昇圧するため、1次側600オーム、2次側20kオームで使用するが、事前の計測で2次側の2組の巻線をパラレルに接続した1次側600オーム、2次側5kオームの特性が良かったので、そのように結線してある。
1次側600オーム、2次側5kオームの場合、理論的な昇圧比は2.88であるが、本来とは逆向きで使用するため、秋月のキットと組み合わせた場合の昇圧比は2.1しかないが、それでも0dBFSで1.4Vの出力電圧が得られる。
周波数特性、歪率特性はWGで44.1kHz16bitのいろいろな周波数、いろいろなレベルのwavファイルを作成し、それをRaspberry Pi+MPDで再生し計測した。
本機は一つの筐体にRaspberry PiとUSB-DACを収納しただけであるが、限定的ではあるがネットワーク・オーディオ・プレーヤーと言えなくもない。
リモコン代わりにアンドロイド・タブレットにMPDクライアントとSSHクライアントをインストールして使用している。
ところで、
本機を製作するため、RSコンポーネンツ経由でRaspberry Piを新規購入した。
到着したRaspberry Piに 2012-10-28-wheezy-raspbian+MPDがインストールされ実際に使用中のSDカードを挿入して動作確認しようとした。
しかし、そのSDカードではブートできず、試行錯誤の結果、最新の2013-02-09-wheezy-raspbianをダウンロードし、インストールしたSDカードでようやくブートできるようになった。
OSは以下のコマンドでバージョンが確認できる。
$uname -a
Linux raspberrypi 3.6.11+ #371 PREEMPT Thu Feb 7 16:31:35 GMT 2013 armv6l GNU/Linux
ちなみに動作チェックに使用しようとした既存機のバージョンは
Linux raspberrypi 3.2.27+ #250 PREEMPT Thu Oct 18 19:03:02 BST 2012 armv6l GNU/Linux
である。
MPDのバージョンは
$mpd -V
mpd (MPD: Music Player Daemon) 0.16.7
と既存機と同じである。