筆者が常用している自作PCにはUSB-DACと真空管アンプが接続されており、これで所謂PCオーディオも楽しんでいる。
当然、インターネット等で音声を聴く場合、その都度、これらの機器のスイッチを入れる必要があるが、これらの操作がPCを共用している家人には非常に評判が悪い。
PCオーディオを専用OSを使用したシステムに移行したのを機に自作PCに簡便なスピーカー・システムを導入することにした。
とりあえず、家電量販店で写真のようなBUFFALOの電源をUSBから取る方式のアンプ内蔵のPCスピーカーを購入し、こちらもバスパワーである秋月USB-DACと組み合わせてみた。
この組み合わせであれば、PCの電源が入っていれば、音声も常に出てくるので、家人も納得したが、それにしてもひどい音であるので、なんとかしてみよう。
「USBスピーカーの改造」の経験から音が悪い原因は、スピーカーであることが分かっているので、最終的にはまともなスピーカー・システムに入れ替える必要がある。
その前に、このBUFFALOのPCスピーカーではどのようなアンプが使われているか調べてみる。
スイッチとボリウムのある方のスピーカーのネットを外し、ビスを取ると簡単にアンプ基板を取り出すことができる。
使用されているICは8PDIPで「ICL 2822」とマーキングされていた。
ネット検索では、ぴったりのものがヒットしなかったが、TDA2822Mの互換品であると思われる。
パターンを追って調べた回路図を下記に示すが、非常に簡単である。
ただし、入力部にゲイン調整用と思われる抵抗が挿入されているが、回路図では省いてある。
出力の電解コンデンサーは、オリジナルでは220uFであったが、低域特性改善のために1000uFに入れ替えてある。
このアンプは、秋月USB-DACと組み合わせて使用することになるので、PCにインストールしたWGから16bit44.1kHzの信号を入力してDAC+アンプのオーバーオールの特性を負荷8オームで計測してみた。
特性を以下に示すが、周波数特性は緑線で示した「USBスピーカーの改造」で計測した特性と似ている。
USBスピーカーも出力の電解コンデンサーを1000uFに入れ替えてあり、特性はDACを含めたものであるが、それにしてもうり二つである。
最大出力250mW程度、DF=11.5、残留雑音0.4mVである。
入力300mVで最大出力が得られているので、出力電圧が0.65Vしかない秋月USB-DACと組み合わせても全く問題ない。
低域、高域ともお粗末な特性であるが、
出力の電解コンデンサーを1000uFに入れ替えるとさすがに低域は改善された。
歪率もUSB-DAC+AMPのオーバーオールの特性である。
歪率から見ると最大出力は0.2W強となる。
ジャンク箱を探すと使い古しのタカチのケースが出てきたのでアンプ基板を組み込んでみた。
基板上の電源スイッチ、ボリウムの位置に穴開けして基板を取り付け、入出力端子を増設した。
当初、アンプの電源もUSBバスパワーとしたが、秋月USB-DACと組み合わせるとボリウムを絞ってもプチプチとノイズが出てしまうので、電源ラインにフェライト・ビーズやコンデンサーを挿入してみたが解消できない。
苦肉の策でアンプ電源を5VのACアダプターに変更したらようやく解決した。
無音時の消費電流は数mA程度なので、電源を切り忘れても真空管アンプに比べたら全く問題ないレベルである。
PCラックのディスプレーの両脇に「FOSTEX FE103En+バスレフ箱」スピーカーを置き、本機と組み合わせでしばらく聴いてみた。
音自体には不満はないが、やはり10cmスピーカーでは大きすぎて邪魔である。
8cmスピーカーに的を絞って検討した結果、FOSTEX FE83Enとスピーカーボックス P800-Eを新規購入した。
これだとPCラックにもすんなりと収まったが、やはり8cmスピーカー、低域が出ていないが、BUFFALOのPCスピーカーとは比べものにならないほど良い音である。