出力トランスのタンゴFE-25-8やぺるけアンプ標準シャーシは、数年前にプッシュプル・アンプを製作するために用意したものである。
球は手持ちのあるEL34を使用することにして、何回か試作してみたが、ピンとくる音にならなかった。
その間に自宅のシステムは平衡型に変更したが、今回、このアンプも平衡型を採用し、動作点を見直した結果、
ようやく納得できる音になった。
回路は、2SK117を6DJ8(E88CC)でカスコードにした初段と、EL34の終段を直結にした2段増幅である。
EL34の動作電流は電源容量の関係から1本あたり40mAとしたので、予想される出力は6W程度となる。
EL34のカソードに挿入してあるLM317Tの定電流回路は、以前の試作の名残で2組となっている。
また、1.5kオーム10Wの抵抗を直列に挿入して消費電力を分担している。
手持ち部品を利用したので、1本で済む抵抗を4個シリーズにしたりとしている。
使用した2SK117、2SK30、ツェナー・ダイオードは、ぺるけ氏から頒布していただいた6N6差動PP用のものを流用している。
シャーシーはぺるけアンプ標準シャーシ(W320mm D210mm H60mm)、出力トランスはタンゴFE-25-8、電源トランスはノグチPMC-170Mである。
6DJ8はサブ・シャーシーに取り付けてある。
シャーシー内部はかなり込み入った状態となっている。
直結のため、電圧嵩上げ用の抵抗からの発熱が多くなっている。
初段のFET回りは、10Pラグ板2枚をスペーサーで挟んで2階建て構造としている。
本機は直結差動PPであるため、初段の2SK117のソースに挿入してあるボリウムを回すことにより、終段のEL34のDCバランスを調整している。
そのため、ボリウムをシャーシー上から回せるように配置すると共に、EL34のカソード間電圧もシャーシー内部にアクセスしなくても計測できるようにテスト端子を設けた。
平衡アンプの特性を計測するためには、平衡入出力のある電子電圧計や信号発生器が必要であるが、残念ながら所有していない。
仕方ないので、本機入力のコールドとアースをショートして不平衡入力にして不平衡アンプとして計測した。
周波数特性は1.0Wで計測した。
低域は10Hzまでフラットで、高域も素直なカーブとなっている。
歪率特性は「WG、WSによる歪率の測定」によるデータである。
歪率特性からも出力6Wが得られていることが判る。
EL34のDCバランスの特性を計測してみた。
EL34のカソード間の電圧を測定して、カソードに挿入した抵抗3.3オームで除するとアンバランス電流が計測できる。
コールド状態でスタートして120分経過するまでのデータであるが、10分程度、暖めると問題ないレベルになるようである。
続く