CZ-501-D Drive Single-ended Amplifier の実験
HOME BACK

CZ-501-D

以前から使いたいと思っていた球にCZ-501-Dがある。この球は国産の通信用であるが、かの有名なWE310Aの相当品と言うことで40年近く前に中古品を購入したものである。
手元にあるCZ-501-DはNEC製で1958-10と記載されているので、1958年製造と思われる。
当時、WE91BタイプのWE310A-WE300Bシングル・アンプは紹介されており、いつかは作りたいと思いつつ、WE300Bはもちろん、WE310Aも高価すぎて手が出ずに、せめてもということで中古のCZ-501-Dを購入した。
300Bはその後、中国製を購入し6SJ7と組み合わせた2段増幅のシングル・アンプを作ったが、現在は6SL7SRPP-直結-45シングル・アンプとなっている。
とりあえず、試験用アンプを作っていろいろな出力管をCZ-501-Dと組み合わせてデータを採ってみることにした。

試験用アンプ

試験用アンプも大昔に作ったモノラル・アンプの再利用である。電源トランスはLUX-4A48、チョークはタンゴ製の10H100mA、出力トランスは同じくタンゴのU-808である。
電源トランスは2A3PP用でヒーター用としては2.5V5A、6.3V3ACT、5V2Aがある。 CZ501Dは6.3VのCTを使うと、ちよっと少なめであるが3.15Vが得られる。
出力管用には2.5V、5V、6.3Vが使えるので45、2A3、300Bを試してみたい。

45/2A3

フィラメント回路の抵抗を1.5kとして45と2A3で特性を計測してみた。 1.5kオームは45では最適な値となるが、2A3ではかなり外れてしまっている。 しかし、 負荷を5kオームとすると出力とトレードオフとなるが、そこそこ使えることが判っている。

同じ回路定数でこれだけ周波数特性に違いがあるとは思わなかった。よく2A3は「中低域が充実・・・」という評があるが、45と比較すると高域の落ち込みが大きいだけなのでと思ってしまう。
ただし、直結にすると周波数特性にはそこまでの違いがないので、回路方式によっても2A3の印象が違ってくるかもしれない。

2A3その2

フィラメント回路の抵抗を標準的な動作例である750オームとして特性を計測してみた。
下図にはフィラメント回路の抵抗を1.5kオームとしたデータも掲載したが、750オームの方が出力が大きいだけで、全体の傾向はあまり違いがないことがわかった。

300B

いよいよ300Bである。フィラメント電源の5Vは整流菅用を転用するので、整流菅を外してダイオードを取り付けた。フィラメント回路の抵抗を1kオームとして特性を計測した。
比較のためにフィラメント回路の抵抗を750オームとした2A3のデータも掲載したが、300Bの方が出力が大きいだけで、全体の傾向はあまり違いがないことがわかった。

6CA7/EL34

最後は6CA7/EL34である。プレートとG2を100オームの抵抗で接続した3極管接続でデータを採った。
さすがにカソードがある球で、バラック・セットでも残留雑音は数mVに抑えられている。
入出力特性から高ゲインであることがわかる。クリッピング・ポイントは3.2W程度であった。
周波数特性は2A3や300Bと同じ傾向を示しているが、ゲインがあるので軽くNFBをかけると高域はかなり伸びてくる思われる。
歪率特性は2A3や300Bよりは低いが、NFBをかけるとさらに改善されるであろう。

まとめ

45、300B、6CA7/EL34でいろいろと条件を変えてデータを採ってみたが、 45が秀逸という結果となった。
ただし、出力が1W程度しかないので、そこをどのように評価するかが問題となる。
高能率なスピーカーと組み合わせることができれば良いのだが、最近のスピーカーは出力のあるアンプによるドライブを前提としているので、選択肢が狭まってしまう。 もっとも、300Bや6CA7/EL34でも数Wしかないので、五十歩百歩なのではあるが。
6CA7/EL34はゲインのあることがアドバンテージとなるので、やはりNFBをかけて使いたい。

HOME BACK

Last Update 4/Apr/2010 by mac