Music Serverの電源電圧は5Vなので、通常はACアダプターや専用のリニア電源を使用している。
しかし、オーディオ・マニアの知人宅に持ち込んでデモする時などは、商用電源ではなく、バッテリー駆動の方が便利である。
スマホ充電用のモバイル・バッテリーを入手したので、データを採ってみた。
使用したモバイル・バッテリーは、Coolreall 「3ポート」大容量 モバイルバッテリー 20000mAhである。
このバッテリーは、スマホ等を外出先等で急速充電するためのものであり、出力電圧は5Vなので、Music Serverの電源にも対応できる。
説明書には内部構造についての記述がなかったが、DC-DCコンバーターが内蔵されているはずである。
Music Serverの電源端子はACアダプターに対応するため、2.1mmジャックを使用しているので、手持ちのUSBケーブルに2.1mmプラグを半田付けしたものを2本作った。
灰色のケーブルは、かなり以前に入手したUSB中継ケーブルを切断して2.1mmプラグを接続したモノ、黒色のケーブルは百均ショップのUSBケーブルに2.1mmプラグを接続したモノである。
長さは、それぞれ50cm程度である。
これらのケーブルを評価するため簡単な試験をしてみた。
手持ちの5オーム20Wのセメント抵抗2本パラ接続し、2.1mmジャックを半田付けしたテスト用負荷(2.5オーム)を作った。
写真のようにバッテリーとテスト用負荷を接続し、2.1mmジャックの部分の電圧を測定してみた。
結果は
灰色ケーブル 4.81V
黒色ケーブル 4.55V
となった。
なお、バッテリー端子電圧は5.17Vであったので、接触抵抗を含んだケーブルの抵抗は
灰色ケーブル 0.19オーム
黒色ケーブル 0.34オーム
である。
Music Serverの消費電流は、HDD内蔵の「Banana Pro + PCM5102A DAC」で0.8A程度となるので、モバイル・バッテリーとの接続は灰色ケーブルで行うことにした。
テスト用のMusic ServerとしてはDACの型式が同じである「Banana Pro + PCM5102A DAC」と「Raspberry Pi+PCM5102A DAC」を選択した。
「Raspberry Pi+PCM5102A DAC」の消費電流は0.9A程度、「Banana Pro + PCM5102A DAC」はCPUも高性能であり、HDDも内蔵しているが、消費電流は上述したように0.8A程度である。
なお、「Raspberry Pi+PCM5102A DAC」では外部のNASとの接続は解除し、楽曲ファイルはUSBメモリーに格納してRaspberry PiのUSBポートに挿した。
テスト方法は、それぞれのMusic Serverで楽曲再生状態にした後、一時停止状態とし、そのアナログ出力(R channel)の残留雑音を電子電圧計で測定した。
Raspberry Piは通常、ACアダプターのみで使用しているので、リニア電源の測定は省略した。
Music Server | ACアダプター | リニア電源 | バッテリー |
Banana Pro | 320uV | 220uV | 235uV |
Raspberry Pi | 280uV | 180uV |
測定結果であるが、Banana ProもRaspberry PiもACアダプターと比べるとバッテリーの方が残留雑音が低くなっているが、Banana Proにおいてはリニア電源の方がバッテリーよりも残留雑音が低くなった。
この計測において、試しにLANケーブルを抜いた状態の残留雑音も計測してみた。
Banana Proの場合、LANケーブルを抜くとそれぞれの電源で10〜20uV程度、残留雑音が低くなった。
Raspberry Piの場合、ACアダプターでは変化はなかったが、バッテリー駆動時は180uVの残留雑音が40uVまで激減した。
なお、バッテリー駆動時でもBanana ProもRaspberry PiもMusic Serverとして問題なく動作している。
写真は「Raspberry Pi+PCM5102A DAC」とバッテリーを組み合わせている。
楽曲ファイルはUSBメモリーに格納しているので、外部のNAS等との接続は不要である。
LANポートから延びているLANケーブルに接続されているのは、エレコム WiFiルーター 無線LAN ポータブル 150Mbps 11n/g/b WRH-150BK である。
これにより、タブレットやスマホから無線で「Raspberry Pi+PCM5102A DAC」をコントロールできる。
この組合せは商用電源が不要、コントロールも無線なので、オーディオ・マニアの知人宅に持ち込んでデモするのには便利かもしれない。
この状態でも残留雑音は40uVをキープできているが、これが音の良さに反映されているかは不明である。