6N6P差動PP直結アンプ
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はじめに

ぺるけ氏のサイト「ミニワッター6N6P全段差動PPアンプ <特注電源トランス〜パワーアップ版>」というコンテンツがあり、それに使用されている6N6Pという球がが気になっており、いつか使ってみたいと思っていた。
6N6Pはロシア製の双3極管で、PPで使用した場合、1W程度の出力が期待できるが、ヒーター電流が0.75Aと比較的少なく、ヒーター電流が0.9Aの5687よりも使いやすいと思われる。
秋葉原へ行った折、6N6Pを購入したので、上記サイトにある回路を参考にして6N6P差動PP直結アンプを製作してみた。

回路

手持ち部品を総動員して製作したので、トランス類がぺるけ氏のミニワッター6N6P全段差動PPアンプ <特注電源トランス〜パワーアップ版>とは違っている。
出力トランスは東栄のOPT-10 8k、電源トランスは古のタンゴST-130である。
タンゴST-130は倍電圧用のトランスで0V-135Vの巻線があるので、これにヒーターの6.3Vを足して141.3Vにして、それを全波整流することにした。
それでも、B電圧が不足するかもしれないので、FETリップル・フィルターの電解コンデンサーと並列に挿入する抵抗を省いている。

6N6PのカソードにはLM317Tの定電流回路を挿入し、これも手持ち部品の関係から制限用の抵抗を18オーム2本直列の36オームとしたので、トータルのプレート電流は34.7mA(片ユニットでは17.35mA)となった。
前段の2SK30は手持ち品をIDSSで選別したら、2.0mA、2.2mA〜2.3mAが得られた。
2.0mAを定電流用とし、2.2mA〜2.3mAは一定バイアスをかけてさらに選別したものを使用することにした。

構成

シャーシーはアルミパネルを木枠で囲んだもので、20年以上も前に製作したVT25/VT25A Stereo Amplifierのリユースである。
ただし、アルミパネルは近所のホームセンターで新規にw:300mm*d:200mm*t:2mmのものを購入した。
ちなみにVT25/VT25A Stereo Amplifierは、知人から頂いたシャーシーを利用してVT-25/VT-25A シングル直結アンプその2に作り替えた。

電磁誘導の影響を最小にするための配置を探っていたら、電源トランスと出力トランスは、このような位置になってしまった。
また、出力トランスは端子がむき出しのためシャーシー内部に格納したので、シャーシー上部が電源トランスと2本の真空管のみとなり、間の抜けたスタイルである。

特性

1kHzにおいて NFB=6dB、DF=3.5 である。

周波数特性は出力0.125W、0.5W、1.0Wで計測した。
低域は若干ではあるが100Hzから落ち込みが始まり、高域は40kHzにディップがある。

歪率特性は「WG、WSによる歪率の測定」によるデータである。
歪率特性からも出力1.0Wが得られていることが判る。

クロストークは8オーム負荷で1Vに設定して測定した。
10Hz−30kHzまで-70dB以下となっている。

まとめ

出力トランスに東栄のOPT-10 8kを使用したアンプは過去に何台か製作しているが、やはり周波数特性では100Hzあたりから落ち込みが始まり、高域には大きなディップがあった。
特性的にはイマイチであるので、あまり期待していなかったが、自宅のサブ・システムに使用している6922(6DJ8)差動PP直結アンプ ミニワッター版と入れ替えて試聴してみると本機の方が音に余裕があり好ましく感じられた。
筆者の駄耳ではあてにならないので、経験豊かなアンプ・ビルダーである知人宅に持ち込んで評価してもらった。
試聴に使用したスピーカーも本格的なホーンタイプの2ウェイである。
知人宅のスピーカーでも問題なく鳴り、知人曰く「出てくる音は特性だけでは決まらないよ」 とのことであった。
良いスピーカーでは「それなりのアンプでもそれなりに音が出てくる」のかもしれないが、 この結果に気をよくして自宅のサブ・システムは本機に入れ替えて使用中である。
でも、出力トランスを春日のKA-8-54あたりに載せ替えるとどうなるのかという想いは残っている。

平衡化

本機は2階寝室に置いてUSB-DAC KIT + ライン・トランスと組み合わせて使用している。
しかし、DACは平衡出力を持っているが、本機は不平衡入力しかないので、 平衡-不平衡アダプターを付加している。
せっかく、DACに平衡出力があるので本機を平衡化してみることにする。
ぺるけ氏のサイトにある「平衡型6N6P全段差動プッシュプル・ミニワッター」のコンテンツに 「バランス入力を持った全段差動PP回路としておそらく最もシンプルな構造の設計というと、左下図のような回路になります。」というのがあり、これを参考にさせていただいた。
RCAジャックと2連ボリウムをXLRコネクターと4連ボリウムに変更し、若干の配線変更だけで改造できる。

特性はUSB-DAC KIT + ライン・トランスと組み合わせて計測した。
WGで44.1kHz16BITの信号を発生させ、本機の出力に接続した電子電圧計で計測したものである。

1kHzにおいて DF=4.0 である。

周波数特性は出力0.125W、0.5W、1.0Wで計測した。
やはり低域は落ち込みがあり、高域にはアバレがある。

歪率特性は「WG、WSによる歪率の測定」によるデータである。
特性は不平衡時と似通っている。

平衡型に改造した音であるが、低域がしっかりと出るようになり、音の奥行きが深まったように感じた。
ただし、同じ6N6Pを使用した平衡型6N6P差動PP直結アンプと聞き比べると残念ながら本機の方が見劣りする。
出力トランスや回路構成の違いが出ているモノと思われる。

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Last Update 2/Aug/2014 by mac