6DJ8カソード帰還単段アンプ(ミュージック・サーバー内蔵)
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カソード帰還のいたずら

カソード帰還のいたずらでバラック・セットではあるが、それなりの音を出すことができた。
このまま終わりにするのはもったいないと思い始め、お蔵入りとなっていたUSB-DAC KIT + 真空管バッファ・アンプを再利用して作り直してみた。
当然、アンプだけではなくRaspberry Pi Zero W + pHAT DACも同居させ、アンプ付きミュージック・サーバーとしての機能も持たせてみる。

回路

回路はバラック・セットを踏襲しており、カソード帰還を施した単段アンプで、ゲイン不足を補うために入力トランスを配置してある。
カソード帰還を施すため、出力トランスの2次側は8オーム側をアースとしてある。
6DJ8の動作点も135V10mAと同じである。
ただしカソード抵抗は実験時の300オームから320オームへ変更した。
320オームの抵抗はないので、手持ちの100オーム2本、120オーム1本を直列に接続した。
入力トランス2次側の負荷抵抗は12kオームとした。
B電源関係はUSB-DAC KIT + 真空管バッファ・アンプで使用した基板を改造した。
実験時にはRaspberry Pi Zero W + pHAT DACの電源は外部から供給したが、内蔵するため、5V電源を用意した。
このアンプは600オームの入力トランスを配置してあるので、ソース側の出力インピーダンスは低いことが求められる。
内蔵するpHAT DACにはDAC-ICとしてTI PCM5102Aが使用されているが、このPCM5102AのLoad impedanceは1kオームであり、600オーム入力のトランスをドライブするのには役不足である。
しかし、バラック・セットではそれなりのデータが得られているのと、他に代替えできるものもないので、あえて使用している。
Raspberry Pi Zero Wと組み合わせてもすこぶる小さいので、ケースに内蔵するのには便利である。

構成

使用真空管は1本だけであるが、トランスが全部で6個もあるので、ケース内はそこそこ窮屈である。
なお、ケースはタカチYM-250(W250mm H50mm D170mm)である。
ミュージック・サーバー内蔵なので、アンプに付きものの入力端子はなく、スピーカー端子だけである。
コントロールは電源スイッチと音量調節ボリウムだけである。
ケース内機器の消費電力は7W程度なので、特に通風を考慮しなくても大丈夫である。

Raspbian Buster Lite

カソード帰還のいたずらでは、OSはRaspbian Stretch Liteを使用したが、改めてRaspbianのサイトをチェックするとバージョン・アップされたRaspbian Buster Liteがリリースされていた。
早速、Raspbian Buster LiteをダウンロードしてSDカードにインストールすることにした。
OSやMPD関連のインストールの詳細については Raspberry Pi Zero Wのいたずらを参照してもらいたい。
「Raspberry Pi Zero Wのいたずら」ではRaspbian Jessie LiteやRaspbian Stretch Lite について解説しているが、Raspbian Buster Liteでも全く同様にインストールすることができる。
当然、Wifi対応のヘッドレス・インストールも可能である。

新規インストールしたOSとMPDのバージョンは以下のとおりである。

$ uname -a
Linux raspberrypi 4.19.50+ #896 Thu Jun 20 16:09:52 BST 2019 armv6l GNU/Linux

$ mpd -V
Music Player Daemon 0.21.5 (0.21.5)

特性

下記が周波数特性である。
特性は、内蔵ミュージック・サーバーから0dBFS(192kHz24bit)のWAVファイルを再生して計測した。
ミュージック・サーバーに組み込まれているpHAT DAC自体の周波数特性であるが、5Hz-20kHzまでフラットであり、周波数特性の傾向はアンプ部によるものが支配的である。
-3dBの範囲は30Hz-30kHzであるが、低域では100Hz、高域では10kHzから低下が始まっており、これは入力トランスの影響だと思われる。
念のため、-10dBFSでも計測してみたが、0dBFSと同じ傾向であった。
1kHz0dBを入力すると350mVの出力が得られるが、実際のヒアリングでは音量ボリウムを絞っているので、その場合の出力245mWをベースとして計測した。
残留雑音は、音量ボリウムMAXで0.27mV、MINで0.05mVとなり、ミュージック・サーバーからのノイズが支配的である。
DFは1kHzで3.5である。


下記が歪率特性である。
100Hzの特性がおかしな傾向を示しているが、これは入力トランスによる影響だと思われる。


下記がクロス・トーク特性である。
ミュージック・サーバーを内蔵したので、全体的なクロス・トーク特性がどのようなものになるか計測してみた。
周波数特性等で使用したWAVファイルはRチャンネルとなっているので、これを再生しL チャンネル側のアンプ出力を電子電圧計で計測した。
なお、Rチャンネル側の出力は8オーム負荷で1V(125mW)とした。
今まで計測したアンプのクロス・トーク特性では中域が低く、低域、高域が盛り上がって いたが、それとは違う傾向である。
それでも1kHzで-60dBとなっているが、コメントに戸惑う特性である。

まとめ

ミュージック・サーバーを内蔵しているので、スピーカーを本機に接続するだけで再生可能である。
コントロールはPC、スマホ等にインストールしたMPDクライアントからWifi経由で行うので、LANケーブルは不要であり、取り回しが楽である。
ミュージック・サーバーを構成するRaspberry Pi Zero Wには、32GBのマイクロSDカードを装着したので、楽曲ファイルを格納するスペースは30GB近くある。
30GBのスペースは、FLACファイル(44.1kHz16bit)であれば音楽CD換算で100枚以上格納でき、十分、実用的である。
もちろん、ハイレゾ・ファイル(192kHz24bit)も問題なく再生でき、楽曲ファイルの入れ替えもLAN経由で簡単にできる。
気になる音であるが、ケースに組み込み、ミュージック・サーバーを内蔵したとしてもバラック・セットの時と変わらないが、やはり特性がお粗末なのが気になってしまう。

ミュージック・サーバーとアンプの組み合わせは本機が最初ではなく、すでにBanana Pro + ES9018K2M DACで実現している。
Banana Pro + ES9018K2M DACでは、現在200GBのSSDを装着して寝室専用として使用しているが、球アンプの本機とは音の傾向に違いがある。

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Last Update 8/Jul/2019 by mac