CPUボードやDACの5V電源には、写真のようなスイッチング方式のACアダプターを使っている。
しかし、CPUボードをMusic Serverとした場合、USB-DACにもCPUボード経由でこのACアダプターから電源が供給されることになる。
特にスイッチング方式に偏見もないが、この電源をリニア方式の電源に換えたらどうなるのかと思い始めた。
手持ちパーツをチェックしたら、8V3Aのトランス、秋月の安定化電源キット、中古ケース等が出てきたので、下記のような回路のリニア電源を組み立てた。
この秋月の安定化電源キットは三端子レギュレータLM350Tを使用したものである。
LM350Tはヒート・シンクに取り付ける必要があるが、手持ちのヒート・シンクでは熱容量が不足するおそれがあるが、この大きさだとケースの中に収まる。
ケースの構造からフロント・パネルにスイッチ、出力端子等を配置し、フロント・パネルを外せば内部にアクセスできるようにした。
簡単な試験を行ってみた。
複数本の5オーム20Wのセメント抵抗があったので、これを負荷にして両端の電圧を測定した。
抵抗1本で負荷電流1Aとなるが、その時の電圧は4.95V、抵抗2本をパラにすると負荷電流2Aとなり電圧は4.91V、抵抗3本をパラにすると負荷電流3Aとなり電圧は、残念ながら4.07Vまで低下してしまった。
この結果からすると本機は5V2Aまでは大丈夫なようである。
次にMusic Serverとしている2機種のCPUボードに、同一のUSB-DACを接続してアナログ出力の残留ノイズを電子電圧計で計測してみた。
このUSB-DACの電源はCPUボードのUSBポートから供給されており、CPUボードはMusic Serverとして動作する状態で計測した。
スイッチング方式のACアダプターを使用すると2機種とも0.3mV程度の残留ノイズが計測されたが、
本電源に換えるとそれが0.2mV程度までに低減されているので、リニア電源の効果が現れているようである。
音もリニア電源にするとまろやかになったように感じた。
新しいMusic Serverを製作したので、もう1台、5V リニア電源が必要となった。
上述した秋月の安定化電源キットの在庫があったので、それと手持ちパーツを組み合わせて5V リニア電源を作った。
これで終わりのつもりであったが、別のMusic Serverに使用していたACアダプターを他に転用したので、もう1台、5V電源が必要となった。
さすがに秋月の安定化電源キットはないので、手持ちのパーツで製作できることを条件にして定電圧ICを電流ブーストするタイプの電源を製作した。
定電圧ICはNEC 2405、電流ブースト用のトランジスターはサンケンの2SA770とかなりの年代物であり、電源トランスはジャンクのACアダプターから取り出した両波整流用である。
定電圧ICのデータシートに記載されていた回路で仮組立してみたが、負荷がかかると出力電圧が5Vをオーバーしてしまった。
試行錯誤した結果、電流ブースト回路にある抵抗を47オームから22オームに変更したところ、安定した5Vの出力を得ることができた。
本当は金属製のケースが望ましいが、適当な手持ちがなかったので、百均ショップのプラケースを使用した。
適当な出力端子がなかったので、古いUSBケーブルを切断してメスのコネクターで代用した。
トランスのコア・サイズから推測すると定格電流は1A程度と思われるが、負荷試験においては短時間ではあるが、2A流しても5.0Vを維持できた。