5687差動PP直結アンプ ミニワッター版
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5687については、ぺるけ標準シャーシーとタンゴFE-25-8、タンゴST-130を使い、 5687差動PP直結アンプに仕上げてしばらく使用していた。
しかし、このアンプは、1626差動PP直結アンプに作り替えてしまった。
そんな折、ぺるけ氏がミニワッター用シャーシーを頒布するという情報があったので、1台お願いした。
というのも 5687を使い、コンパクトなアンプを作ってみたいという目論みがあったからである。

構成

ミニワッター用シャーシーでは、取付け穴にマッチするトランス類が指定されているが、 今回、電源トランスには手持ちの20VA絶縁トランス(東栄)と6.3V1A*2のヒータートランス(東栄)を使用した。
出力トランスは春日のKA-8P-54であるが、電磁誘導による影響を最小にするため、標準の取り付け方法とは90度向きが違っている。
そのため、出力トランスの取り付けバンドがトランスカバーからはみ出てしまう。
また、トランスカバー内で20VA絶縁トランスと出力トランスの距離が最大となるように配置してある。
さらに、20VA絶縁トランスの端子とトランスカバーのクリアランスがタイトであるので、カバー内部には絶縁用のプラスチック・シートを両面テープで貼り付けた。

シャーシー内のヒータートランスであるが、 電磁誘導による影響が最小となるようにした結果、このような配置となった。
こちらもシャーシー裏蓋とのクリアランスが非常にタイトであるので、シャーシー裏蓋にプラスチック・シートを貼り付けてある。

回路

回路は ぺるけ氏の「情熱の真空管」「プリアンプ&ヘッドホンアンプを自作しよう!」にある「真空管式差動ヘッドホン・アンプ」のコピーであるが、若干、変更してある。
前段に使用したFETもに分けていただいた2SK30である。
5687の動作点は 5687差動PP直結アンプと同じ130V15mAとしたが、100V:120Vの絶縁トランスでは賄いきれず、プレート・カソード間は120V止まりである。電流を若干、下げる必要があるが、とりあえずそのままとした。
ヒーターは6.3V巻き線2組をシリーズにして12.6Vで点灯させている。

ところで、本機は全段差動でしかも直結であるが、調整箇所がない。
これは前段に使用した2SK30がぺるけ氏による選別品であり、試作時 5687差動PP直結アンプにおける経験から特に調整箇所を設けなくても大丈夫であることが判っていたためである。
気になる場合は2SK30の両ソース間に100オームのボリウムを挿入し、5687の両プレートに流れる電流がバランスするよう調整する。

特性

NFBは3.3dBかけてある。
ノン・クリップ出力は約0.6WでDF=2.5である。

ノン・クリップ出力が0.6Wなので、周波数特性は8オーム負荷で2V、出力0.5Wで計測した。
春日のKA-8P-54は非常に素直な特性で、低域から高域まで、アバレもなくきれいに伸びている。

歪率特性は「WG、WSによる歪率の測定」によるデータである。
私の環境では実際よりも大きな数値になっていると思われるが相対的な比較には使える。
1kHz、10kHz、100Hzのカーブが良く揃っている。

クロストークはLCHに入力してRCHの漏れを測定したL→Rが高域で良くない。
それでも20kHzで-70dB弱は確保できているが実装に問題があるのかもしれない。

まとめ

春日のKA-8P-54を採用して大正解である。特性も素直で低域から高域までバランスの良い音である。
テレビの音声をこのアンプで聴いたが、明瞭度が高く、家人にも好評であった。また、形状もコンパクトなので、じゃまにならず、その意味でも好評だったかもしれない。
音楽だけではなく、オールラウンドに使えるアンプに仕上がったようである。

手直し

このアンプの問題の一つが電源に絶縁トランスを使用したため、5687への供給電圧が低めになっていることがある。
FETリップル・フィルターのゲートへは電源電圧を10kオームと1Mオームで分圧してかけていたので、ここで数Vであるが、ロスがあった。
10kオームを220kオームへ変更し、1Mオームの挿入位置を電源電圧−アース間へ変更した。
これにより、5687への供給電圧が5V程度、上昇した。フィルターが強化されたので、残留ノイズが両チャンネルとも30uVまでに低下し、クロストーク特性も改善された。

手直しその2

前述の5687への供給電圧が低めになっていた件は解消されたが、これに付随した別の問題がある。
5687の動作点を130V15mAとしているが、まだ、5V程度電圧が低いままである。電源側はこれ以上の余裕がないので、前段との関係を見直すことにした。
2SK30の負荷抵抗を10kオームから15kオームに変更すると、5687のグリッド電圧が5V低下するので、5687のプレート・カソード間電圧が5V上昇し、ようやく当初設定の動作点に近づいた。
動作が最適化された結果、歪率特性も全体的に低い方へシフトした。ただし、聴感上の変化は特に感じられない。
最終的な回路と各部の電圧は以下のとおりである。

このアンプは「6922(6DJ8)差動PP直結アンプ ミニワッター版」へ改修しました。

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Last Update 12/Feb/2011 by mac